「広報」と聞いてメディア関連の仕事かなと何となく想像はできても、どんな仕事をしているのか具体的にイメージしづらいのではないでしょうか。
社内外問わず細やかなコミュニケーションが必要とされ、情報感度高くアンテナを張り、時流を読む広報業務について、今回は伏見さんにインタビューしたいと思います。
FWDグループの一員として、世間のニーズに応えながらFWD生命の情報発信をすること
—広報の業務内容を教えてください。
伏見:広報の業務は多岐にわたりますが、一口に『当社のブランドビジョンである「人々が抱く“保険”に対する感じ方・考え方を刷新すること」を実現するための取組みを、各メディアやファイナンシャルプランナーといったステークホルダーの方々へお伝えする業務』です。
例えば、当社の取組みをニュースリリースとして配信したり、メディアへ直接プレゼンテーションしたりすることで、各種媒体を通してFWD生命の活動等をお客さまにお伝えしています。加えて、各部署が進めているブランドビジョンの実現に向けた取組みを魅力的に情報発信できるように、ディスカッションを重ねながら情報収集もしています。業務に没頭していると、その取組みがニュースリリースに値するものであっても気付かないことがありますので、このディスカッションは特に重視しています。
またFWD生命は本社が香港にある外資系企業なので、社内コミュニケーションには、日本国内だけでなく日本と本社間のコミュニケーションも含みます。例えば、本社が企画し香港やシンガポールといったFWDグループの全マーケットが参加するHiVE*では、広報が日本サイドの運営面の取りまとめをしています。
■HiVE(ハイヴ)
”Celebrate living(人生を讃えよう。)”をブランドスローガンに掲げるFWDグループでは、各マーケットの垣根を無くすため、定期的な会議や普段の気軽なコミュニケーションの他に、FWDグループの全マーケット10の地域をつないで全社員が参加する大型の社内イベント「HiVE」を年に2回開催しています。
中継映像を繋いだり、メタバース空間を使ったりとコミュニケーションの舞台にも毎回趣向を凝らし、その中でグループのエグゼクティブのスピーチや、各マーケットの様々な分野のベストプラクティスが共有されます。また、社員とその家族が出演するインタビュー映像や、オリジナルのミュージックビデオの上映等、エンターテインメント性にも富んだイベントです。
国や地域の垣根を超えたコミュニケーションがFWD文化を支えていますが、「HiVE」はまさにそんなFWDグループを象徴するイベントです。
▲HiVEのLive会場
—社内の情報を積極的に取りに行き、メディア発信まで結びつけているのですね。具体的にどういったアクションを起こして、メディア掲載まで結びつけるのでしょうか?
伏見:当社の保険契約管理システムをクラウド化し「IT奨励賞(マネジメント領域)」を受賞したケース*では、このプロジェクトを推進していた責任者と別件でお話ししている時に取組みの概要をお聞きしたことが始まりでした。クラウド化が保険業界では前例が少なく、ビジネスメリットが非常に高いというお話だったので、ニュースリリースだけではなくアワードにチャレンジしてみてはどうかと提案させていただきました。特に金融系でのシステム基盤の変更は注目が集まる中で、当社の取組みは多くの方に興味を持っていただけるのではないかと思いました。 結果として受賞につながり、またその受賞をきっかけに大手メディアより取材の打診をいただき、掲載にまでつながりました。 ITチームの果たした偉業のバトンを引き継いで、適切な形で発信できた好例だったと思います。
*IT賞は、日本の産業界ならびに行政機関などの業務における事業創造、効果的ビジネスモデルの構築・促進、生産性向上等、“ITを高度に活用したビジネス革新”に顕著な努力を払い成果を挙げたと認めうる企業、団体、機関および個人に対して、公益社団法人企業情報化協会が授与するものです。当社が受賞した「IT奨励賞(マネジメント領域)」は、既存事業への業績貢献に関わる取組に贈られる賞です。またFWD生命は、社会貢献活動の1つとして『オレンジリボン運動』*¹を支援しています。政府が「こども家庭庁」を設立し、社会全体で子どもの成長を後押しする機運が高まる中で、オレンジリボン運動の認知度は7%*²と、より一層の周知活動が必要とされています。FWD生命ではユニフォーム広告のスポンサーをしているオリックス・バファローズの試合にて募金活動を実施したり(「オレンジリボン運動デイ」)、保険代理店と協業して新契約件数に応じた寄付をしたり、オレンジリボン運動を周知させる取組みをしています。広報としては、オレンジリボン運動の目的や内容についてメディアを通じて発信するという、NPOの広報活動のサポートをしています。メディアがオレンジリボン運動にフォーカスを当てそうなタイミングとして、こどもの日に照準を合わせ、子ども虐待防止やそのための子育て支援を改めて認識していただくという目的で、これまでFWD生命が支援してきた実績と共にメディアに取り上げていただくよう働きかけました。結果として様々なNPO法人を紹介するメディアで、こどもの日に最も近い放映日にNPO法人の理事長インタビューを取り上げていただきました。 *¹ 子ども虐待防止のシンボルマークとしてオレンジリボンを広めることで、子ども虐待をなくすことを呼びかける市民運動。同じオレンジをブランドカラーとし、Celebrate livingをブランドスローガンに掲げる当社は、この活動を2023年より支援しています。
*² 出典:認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク オレンジリボン認知度調査2023 結果報告
▲IT奨励賞を受賞した際の記事
今こそ「人々が抱く"保険"に対する感じ方・考え方を刷新すること」が求められている時代
—お聞きした例だけでも広い分野にまたがって情報発信されていますが、情報をキャッチできるように工夫されていることはありますか?
伏見:発信する情報は必ずしも自然と入ってくるものではないので、普段から情報を得られるようにアンテナを張っています。様々な企業の動向を見つつ、部署間の何気ない会話からニュースになりそうな情報を拾うことを心掛けています。ただ最近は、取組みの成果としてメディアに掲載いただく機会が増えてきたので、自部門の取組みについて積極的に情報を提供していただけるようになりました。
—メディアを通してお客さまとコミュニケーションを取る上で気を付けていることを教えてください。
伏見:まだ認知が必要な会社である分、言葉が足りないまま発信してしまうと些細な情報でもお客さまを不安にさせてしまう可能性があるので、冗長にならないよう気を付けつつも、情報が誤って伝わらないよう適切な配分で情報発信するように心掛けています。
「お客さまの人生や挑戦をサポートする存在でありたい」、そしてブランドビジョン「人々が抱く“保険”に対する感じ方・考え方を刷新すること」を実現したいという想いの元、私たちは広報活動に取り組んでいます。「保険は複雑でわかりづらい」というこれまでの保険に対するイメージを払拭することは社会的にも意義があり、今こそ私たち保険会社が世間から求められている姿勢だと実感しています。
当社の魅力をアピールする一辺倒ではなく、そういったお客さまの声に耳を傾け、世の中の流れを読み、分かりやすく適切に情報を編集してメディアを通じてお伝えしていくことが重要だと考えています。
富士生命の伝統とFWDグループの新しさを融合したコミュニケーションに向けて
▲広報チームのメンバー
-今後の目標を教えてください。
伏見:今後もお客さま目線かつデジタルを活用したアプローチで、革新的な提案、わかりやすい商品、シンプルな各種お手続きを提供している当社の姿勢や取組みを、コツコツと地道に伝えていきたいと思います。
当社は1996年に「富士生命」として日本で設立し、2013年に「AIG富士生命」、2017年に「FWD富士生命」、2021年に「FWD生命」へと社名を変更してきたこともあり、同業他社に比べてまだ認知拡大に向けた取組みが必要だと実感しています。だからこそ、これまで日本で培った経験・知見と、FWDグループがもつ最新のテクノロジーやノウハウを融合し、生命保険業界に新たなチャレンジをしていく姿勢はこれからもより一層強く示していく必要があり、私たち広報の役割が重要になってくると考えています。
これまでお話ししてきたような、FWD生命と社会を結ぶコミュニケーションを発展させることも引き続き取り組んでいきますが、FWDグループとしてのコミュニケーションにも力を入れていきたいと考えています。