将来に備えてがん保険に加入しようと思い立っても、「自分に合ったがん保険はどれか」「どういった保障が必要なのか」と選び方に悩むことも多いのではないでしょうか。
がん保険は生命保険会社によりさまざまなタイプがありますので、保険の種類や保障内容を理解し、よく比較することが大切です。この記事では、がん保険を選ぶにあたって押さえておくべきポイントを解説します。
がん保険の必要性について、がんの罹患率やがん治療にかかる費用、がん保険への加入状況の面から確認していきましょう。
国立がん研究センターの「がん統計」によると、がん罹患数は1980年以降増加傾向にあります。
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん罹患モニタリング集計(MCIJ))・国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)
を基にFWD生命が作成
このように、男性・女性ともにがんの罹患者数が増加しており、国立がん研究センターによると増加の主な原因は高齢化とされています。今後も高齢化が進むことが考えられるため、がんの罹患数も増加していく可能性があるでしょう。
また、医療技術の発展などによりがん治療後の「5年生存率」は上昇傾向にあります。
治療後の生活のことも考えて、がん保険などに加入して備えておく必要があるといえるでしょう。
がんに罹患すると治療費がいくらかかるのか不安な方もいるでしょう。下記のがんを例にし、入院費と平均入院日数を以下にまとめました。
がんの部位 | 入院費(10割) | 自己負担額(3割) | 平均入院日数 |
---|---|---|---|
胃がん | 996,965円 | 約299,000円 | 22.3日 |
結腸がん/ 直腸がん |
978,567円/ 1,150,026円 |
約294,000円/ 約345,000円 |
16.4日 |
気管支・肺がん | 913,065円 | 約274,000円 | 21.1日 |
乳がん | 792,609円 | 約238,000円 | 15.4日 |
出典:公益社団法人全日本病院協会「診療アウトカム評価事業|医療費(2022年度 年間集計)
出典元データに基づきFWD生命にて作成
この他に、入院中に必要な日用品の購入費用やお見舞いをする家族の交通費、個室を利用する場合は差額ベッド代なども必要です。
なお、公的医療保険の対象となる治療を受けた際に、自己負担額が高額になった場合は「高額療養費制度」を利用できます。高額療養費制度は、同一月内における医療費が上限を超えた場合、その超えた部分を還付してもらうことができる制度で、上限額は年齢や所得により異なります。
また、70歳以上で条件を満たす方には、外来療養における自己負担額の年間合計に14万4,000円の上限金額が設けられています。個人で支払った外来の医療費が上限金額を超えた場合、超過分が還付される仕組みです。
(公財)生命保険文化センターの2021(令和3)年度の「生命保険に関する全国実態調査」によると、がん保険に加入している、またはがん特約を付加している世帯は66.7%を占めています。
世帯員別の加入率では世帯主が60.1%、配偶者が43.6%となっており、世帯主年齢別に見ると「30〜34歳」「45歳〜59歳」での加入率は70%を超えています。
多くの生命保険会社からさまざまながん保険商品が販売されていますが、どのがん保険を選べばよいのか迷ってしまう方もいるでしょう。
がん保険や生命保険を選ぶ際には、ポイントを押さえて保障内容を比較することが大切です。ここでは、がん保険の選び方の4つのポイントを解説します。
がん保険を選ぶ際には、がん保険ではどのような保障が得られるのかを理解し、その中で自分にはどの保障が必要なのかを考える必要があります。がん保険の主な保障内容には以下のようなものがあります。
名称 | 保障内容 |
---|---|
がん診断給付金 (がん診断一時金) |
|
がん入院給付金 |
|
がん手術給付金 |
|
がん保険には、一般的に以下のような特約を付加することも可能です。
すでに医療保険に加入している場合は、保障内容が重複しないよう給付対象を絞った商品にするなど、自分が必要とする保障に合わせて選ぶことがポイントです。
がん保険の保険期間には、一定期間のみを保障対象とする「定期型」と一生涯の保障が得られる「終身型」があります。
国立がん研究センターの1980年・2000年・2019年の年齢階級別がん罹患率推移データによると、高齢になるほどがんの罹患率が高くなるため、高齢期のがん保障を手厚くしたい場合は終身型を選ぶとよいでしょう。
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん罹患モニタリング集計(MCIJ))・国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)
を基にFWD生命が作成
一方、定期型のほうが終身型よりも保険料が抑えられている傾向にあるため、毎回の支払保険料を少しでも抑えたい方や、「子どもが独立するまで」といったように一定期間のみ備えたい方は定期型を選ぶとよいでしょう。
がんの種類や進行状況によっては、一度治療をしても再発する可能性が高いので、罹患した場合は長期間のプランニングが必要となることが多いです。
がん保険には、解約した際に支払った保険料が戻ってこないタイプ(掛け捨て型)と解約返戻金や還付給付金などが受け取れるタイプのものがあります。ほとんどのがん保険は掛け捨て型ですが、中には「健康ボーナス(健康祝い金)」といった還付給付金を受け取れる商品もあります。
還付給付金とは、がん保険に加入後、一定期間がんに罹患せず給付金を受け取らなかった場合などに、5万円や10万円などの一時金をお祝い金として受け取れるものです(受け取れる条件は商品により異なります)。
がん保険の中には、セカンドオピニオンなどについての相談ができる商品もあります。がんは治療法が多く存在しているのがメリットである一方、どの治療法が適しているのか選択に悩むケースも少なくありません。
そのような場合に、セカンドオピニオンで主治医以外の医師の意見を聞くことができれば、より納得できる治療法の選択ができるでしょう。
ここまで一般的ながん保険の選び方を解説しましたが、さらに年代ごとにおすすめの選び方があります。
国立がん研究センターの「年齢階級別罹患率」を元に、20代から60代までのそれぞれの年代の状況やがん罹患リスクなどを考慮したがん保険の選び方を解説します。
20代のがん罹患率は下表のように低いため、がん保険への加入を考える方はそれほど多くはないのが現状です。
性別 | 罹患者数(10万人あたり) | |
---|---|---|
20~24歳 | 25~29歳 | |
男性 | 21.2人 | 31.5人 |
女性 | 29.8人 | 55.2人 |
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)
20代は30代以降の年代と比較して収入が少なく、家庭を持つ方も少ない傾向にあります。がん罹患リスクもほかの年代より低いため、最低限の保障が得られる商品や、月々の保険料負担が抑えられる掛け捨て型の商品を検討するとよいでしょう。
30代はまだがん罹患率がそれほど高くはないとはいえ、20代よりは罹患リスクが微増しており、特に女性の罹患率が高くなっています。
性別 | 罹患者数(10万人あたり) | |
---|---|---|
30~34歳 | 35~39歳 | |
男性 | 48.0人 | 76.1人 |
女性 | 110.0人 | 192.0人 |
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)
30代は一般的に結婚し家庭を持つ方が増え、経済的な責任が大きくなり始める時期であるとともに、健康について考え始める年代でもあります。
30代であればまだ保険料もそれほど高額にはならないことが多いので、終身型の保険で短期払をするのも1つの方法です。短期払とは、保険期間よりも短い期間で保険料を払い込み終えることで、高齢期の保険料の負担を軽減することができます。
40代になると男性・女性ともにがん罹患率が上昇する傾向にあります。周囲にがんに罹患する方が出てくるなど、がん保障の必要性を感じる方が多くなる頃でしょう。
性別 | 罹患者数(10万人あたり) | |
---|---|---|
40~44歳 | 45~49歳 | |
男性 | 123.6人 | 194.7人 |
女性 | 326.8人 | 483.8人 |
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)
50代になるとがん罹患率が急に高くなる傾向があります。がんに罹患してしまうと、保険加入を断られたり加入できても保障が制限されたりすることもあるため、先々のことを考えて40代のうちに加入を検討することも重要です。
とはいえ、40代は子どもの教育費や住宅ローンの返済などでお金のかかる年代でもあります。保障内容と保険料のバランスが取れた商品を選ぶことがポイントです。
50代になると男性・女性ともにがん罹患率が上昇し、特に男性において上昇が顕著に見られます。
性別 | 罹患者数(10万人あたり) | |||
---|---|---|---|---|
50~54歳 | 55~59歳 | 60~64歳 | 65~69歳 | |
男性 | 357.2人 | 673.0人 | 1,209.4人 | 1,965.0人 |
女性 | 579.7人 | 692.0人 | 841.2人 | 1,063.3人 |
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)
上の表より、60代になると男性のがん罹患率が特に高くなることがわかります。男性・女性ともにがん保障の必要性が高まる世代といえるでしょう。
晩婚化が進む現代、子どもが独立していない家庭では、まだまだお金のかかる状況でもあります。治療費の支払いの心配をすることなくがん治療を受けられるように、手厚い保障のがん保険への加入を検討するとよいでしょう。
なお、50代・60代ですでにがん保険に加入している方は保障内容を一度確認してみましょう。
以前のがん治療は入院をして手術を受けるケースが多く、がん保険も入院給付金や手術給付金が手厚い保障となっているものが主流でした。しかし、近年は手術を受けずに抗がん剤治療など通院で治療するケースも増えてきており、以前のがん保険では十分な保障が得られない可能性があるためです。
ただし、保障内容を確認し、すでに加入しているがん保険を解約する場合は「免責期間」に注意が必要です。免責期間とは、がん保険に加入した後、90日や3ヶ月といった一定期間は保障が得られない期間のことで、その間にがんと診断されても給付金は支払われません。
そのため、新加入するがん保険の免責期間が経過した後にそれまでのがん保険を解約するなどして、保障の空白期間を作らないことが大切です。
がん保険にはさまざまな保障があります。がん保険を選ぶときには、自分ががん治療において不安に思っていることは何かを把握し、その不安を解決できるかどうかを考えましょう。
また、がん保険に加入した後にライフステージが大きく変わることもあります。現在のお金の使い方だけでなく、将来における自分のお金の使い方の計画も立てながら、自分にふさわしい保険料の払込方法を考えましょう。
記事の監修
※保険商品の内容は、一般的と考えられる内容です。各生命保険会社が取扱う保険商品の内容については、各生命保険会社へお問い合わせください。
※社会保険制度の内容については、2024年5月1日現在施行されている制度に基づく内容です。今後の制度改正等によって、内容が変更される場合もあります。
記事の制作:FWD生命保険株式会社
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