死亡保険は、被保険者が死亡した場合や、高度障害になった場合に保険金が支払われ、遺族等の受取人の今後の生活費等に充てることができる生命保険です。
死亡保険には大きく分けて「掛け捨て型」と「貯蓄型」の2つのタイプがあり、特徴やメリット・デメリットが異なります。死亡保険を選ぶ際には、基本的にいずれかのタイプを選ぶことになるため、それぞれの違いを理解しておくことが大切です。
この記事では、掛け捨て型の死亡保険の特徴やメリット・デメリット、さらに掛け捨て型の加入がおすすめな方について解説します。
死亡保険の掛け捨て型とは、一般的にあらかじめ保険期間が決められている「定期保険」(死亡定期保険)のことをいいます。保険期間の途中で解約した場合に解約返戻金がないか、あっても非常に少ないため掛け捨て型と呼ばれています。
定期保険は保険期間が一定期間に限られており、その期間中に死亡したり所定の高度障害状態と認められたりした場合に「死亡保険金」や「高度障害保険金」が支払われる保険商品です。一般的に、保険料は定期保険の契約時から保険期間満了まで一定金額を支払います。
死亡保険には、掛け捨て型の他に貯蓄型もあります。貯蓄型の死亡保険とは、一般的に解約返戻金がある死亡終身保険のことをいいます。
貯蓄型と呼ばれる理由は、掛け捨て型と比較して解約時等の返戻金があるためです。解約返戻金の金額は保険料払込期間や解約等のタイミングに応じて異なりますが、早期解約の場合、受け取れる金額は払い込んだ保険料よりも下回ることが多くあります。
保険期間が一定期間に限られる掛け捨て型の死亡保険は、ライフステージや家庭の状況等に応じて必要な保障を選択できるという柔軟性が魅力です。
ここからは死亡保険の掛け捨て型について、主な3つの加入メリットを紹介します。
掛け捨て型の死亡保険は、10年や20年といった一定期間(年満了)や、60歳や65歳までといった所定の年齢まで(歳満了)等で、保険期間が限られています。
保険期間の満了が近づいたタイミングで、更新するかどうか、新たに別の保険に入り直すか等を考える機会が得られる点がメリットです。
死亡保険の死亡保険金や高度障害保険金は、万が一のことが起きた際、その後の加入者本人や遺族の生活費等に充てることができます。しかし、必要な保障額はライフステージによって異なるため、その時々に合わせて十分な保障が得られるよう、定期的に見直すことが大切です。
掛け捨て型の死亡保険は、貯蓄型の死亡保険と比較して保険料が安く設定されていることが一般的です。掛け捨て型は解約返戻金や満期保険金がないか、あってもごくわずかで、その分の保険料がかからないためです。
死亡保険は、毎月一定の保険料を支払うことで、死亡や高度障害等のリスクに備えることができる商品ですが、保険料の支払いが家計を圧迫するようでは本末転倒です。
例えば、住宅ローンや教育費等でお金がかかるライフステージにある方は、貯蓄型よりも保険料が抑えられている掛け捨て型を選択することで、家計とのバランスを取りながら必要な保障を得ることができます。
貯蓄型の死亡終身保険は、保障が一生涯継続します。しかし、加入時の年齢や状況によっては「一生涯よりも10年や20年等、近い将来のリスクに備えたい」と考える方もいるでしょう。
定期保険である掛け捨て型の死亡保険の保険期間は、一定期間に限定されています。
「子どもが大きくなるまで」「年金の受給開始まで」といった期間を限定して保障を得たい方には、貯蓄型よりも掛け捨て型の方が合っているといえるでしょう。
貯蓄型の死亡保険よりも低い保険料で、必要な期間だけ保障が得られる掛け捨て型の死亡保険ですが、加入時にはいくつか知っておきたいデメリットもあります。
ここからは、死亡保険の掛け捨て型に関する主な注意点を3つ紹介します。
掛け捨て型の死亡保険は、一般的に中途解約したときの解約返戻金や、保険期間満了時の満期保険金は基本的にありません。(ただし、商品や払込方法の設定によってはわずかに発生するケースもあります。)
死亡保険とは、将来起こり得るリスクに備えるための保障がメインのものであり、解約返戻金や満期保険金等の貯蓄性は副次的なものです。
しかし、解約返戻金や満期保険金は生活資金や教育資金として活用することができます。「死亡リスクに備えながら将来の資金を確保したい」と考える人には、掛け捨て型の保険は、不向きといえるでしょう。
掛け捨て型の死亡保険には、保険期間が満了すると自動更新されるタイプがあります。更新する際にはその時点の年齢をもとに保険料が見直されるため、たとえ保障内容を変更しない場合でも月々の保険料の負担は増えるのが一般的です。
高齢になるほど保険料が高くなる理由としては、年齢が上がるにつれて死亡等のリスクが高くなることが挙げられます。
生命保険は、加入者がお金を出し合ってリスクに備える仕組みであるため、加入者間の公平を保つためにリスクが高い方ほど保険料が高く設定されているのです。
掛け捨て型の死亡保険は、保険期間が満了すると契約は終了し更新ができない「全期型」と、保険料を再計算した上で自動更新される「更新型」があります。
全期型は継続して保障を得たくても同じ死亡保険の更新や再加入はできないため、その場合は、あらたに死亡保険に加入しなければなりません。しかし、年齢や健康状態によっては加入できないケースや保険料が高額になるケースもあるのです。
また、更新型でも更新が可能な年齢に上限が設けられている場合もあります。一定年齢以上に達した場合は更新ができず、高齢期の保障がなくなってしまう可能性があります。
ここまで掛け捨て型の死亡保険のメリット・デメリットについて解説しました。では、具体的に死亡保険の掛け捨て型はどのような方におすすめなのでしょうか。
掛け捨て型への加入メリットが高い方について、解説します。
経済的な負担をできるだけ抑えつつ、必要な保険金額を設定できるのが掛け捨て型の死亡保険のメリットです。
若い世代で家庭を持っている方の中には、経済的な余裕はないが、もしものために死亡保険で備えたいと考える方もいるでしょう。そういった方には、月々の保険料の負担が貯蓄型の死亡保険と比べて少ない掛け捨て型が向いているでしょう。
少ない保険料でリスクに備えつつ、保険料を抑えた分を貯蓄や生活費等ほかの用途に回すことができます。
死亡保険に限らず、保険商品を検討する際には「どのようなリスクに備えたいか」「万が一の際は何のためにどれくらいの保障が必要か」を考えることが重要です。
死亡保険の場合、支払事由に該当する事象が発生した場合に支払われる保険金を、家族の生活費、ローンの返済、教育費等、どのように使いたいかを考えてみましょう。
その結果、ご自身や家族にとって今後10~20年間等の近い将来に必要な保障と、さらにその先の将来に必要な保障が異なる可能性が高い場合、保険期間が限定的な掛け捨て型の死亡保険が適しているといえます。
貯蓄型の死亡保険は解約返戻金が支払われるため、老後の生活資金等のために活用できます。しかし、老後の生活資金を準備する方法は預貯金や投資等さまざまあります。
別の資産で老後資金を準備している、あるいはする予定の方の場合、貯蓄型の死亡保険の解約返戻金を老後の資金に充てる必要性は低いでしょう。
「保障は限られた期間だけ、万が一の場合に備えられればよい」と考える方にとっては、掛け捨て型の死亡保険が向いています。
掛け捨て型の死亡保険は、定期的な保障の見直しができる、保険料を抑えられる、必要な期間だけ保障が得られるといったメリットがあります。
一方で、解約返戻金や満期保険金が基本的にない点や、更新時に保険料が上がる点等のデメリットがあります。
掛け捨て型の死亡保険への加入を検討する際は、特徴やメリット・デメリットについて理解し、万が一に備えて十分な保障を得られるようにしましょう。
記事の監修
※保険商品の内容は、一般的と考えられる内容です。各生命保険会社が取扱う保険商品の内容については、各生命保険会社へお問い合わせください。
※社会保険制度の内容については、2023年11月1日現在施行されている制度に基づく内容です。今後の制度改正等によって、内容が変更される場合もあります。
記事の制作:FWD生命保険株式会社
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