万が一のことがあった場合に、遺された家族が経済的に苦しくならないよう備えるための保険として死亡保険があります。万が一のことは誰にでも起こり得ることなので、できるだけの備えはしておきたいと考えている方もいるでしょう。
死亡保険を検討する際には「死亡保障はなぜ必要なのか」「どのような保障内容なのか」を理解することが大切です。
この記事では、死亡保険とはどのような保険なのか、種類や選ぶ際のポイントなどを解説していきます。死亡保険選びの参考にしてください。
死亡保険とは、保障の対象者である被保険者が亡くなった場合に、遺された家族などあらかじめ決められた保険金受取人に、死亡保険金が支払われる生命保険です。死亡時だけでなく、保険会社が定める所定の高度障害状態になった時に高度障害保険金が支払われる商品もあります。
被保険者が亡くなった場合に受け取れる保険金額は契約時に決めることができ、それに応じて負担する保険料も変化します。一般的には保険金額が高額なほど、保険料の負担も高額になる傾向があります。
例えば、保険金額を3,000万円で設定した場合、被保険者が亡くなった際には受取人に3,000万円が支払われます。これに対し、貯金をして万が一の事態に備える方法では、亡くなる時期によっては必要な額が貯まっていない場合があり得ます。
被保険者が亡くなった後も、遺族が経済的に苦しくならないために活用できるのが死亡保険です。
死亡保険が必要かどうかは、ご家庭により世帯構成や経済状況などが異なるため一概には言えません。しかし、ご自身に万が一のことがあった場合に、家族がお金の心配をせずに済むように死亡保険に加入して準備している方は少なくありません。
生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると、死亡保険を含む生命保険に加入している方は、男性で77.6%、女性で81.5%と、全体の約8割にも及んでいます。年齢別に見ると、男性・女性ともに「50歳代」が最も多いです。
出典:生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」
遺族の生活費を準備する手段として遺族年金などの公的保障もありますが、生命保険に加入している割合が8割程度であることから、多くの方が生命保険に加入し万が一の際に備えていることが伺えます。
死亡保険には、主に下記の3つの種類があります。
それぞれの特徴や保障内容について確認していきましょう。
定期保険は、あらかじめ決められた保険期間内に被保険者が亡くなった場合や所定の高度障害となった場合に、死亡保険金や高度障害保険金が支払われる死亡保険です。保険金は一時金として受け取る他、年金形式で受け取れる商品もあります。なお、満期保険金はありません。
定期保険は、保険期間の決め方により以下の2つのタイプがあります。
全期型には、保険期間が一定の年数の「年満期」と、一定の年齢までの「歳満期」があります。
更新型は、契約者から申し出がなければ、一般的に自動更新となります。更新時には、その時の年齢や保険料率で保険料が再計算され、通常は更新前よりも保険料が高くなりますので、更新しない、あるいは減額して更新したいなどの希望がある場合は、更新前に申し出る必要があります。
被保険者が死亡・所定の高度障害となった際に保険金を年金形式で受け取る商品は一般的に収入保障保険として販売されています。
収入保障保険については、別の記事で詳しく解説していますので、こちらもご確認ください。
終身保険は、契約時から一生涯にわたり保障が得られる死亡保険です。保障が一生涯続くため満期保険金はありませんが、保険期間が経つに連れて受け取ることができる解約返戻金は増えていきます。
ただし、保険料払込期間中に解約した場合は解約返戻金が保険料払込総額を下回ることがほとんどです。
また、保険料を一時払した場合でも、経過期間などによっては解約返戻金が一時払保険料を下回ることがあるため、ご注意ください。
基本的に終身保険は保険料が一生涯変わらないため、計画的に払い込むことが可能です。高齢期の保険料の負担を軽減したい場合は、保険料を一定期間、あるいは一定年齢までに払い込みを完了する短期払も選択できます。
養老保険は死亡保障を得ながら貯蓄にも利用できる死亡保険です。契約時に決めた保険期間内に死亡・所定の高度障害となった場合に、死亡保険金や高度障害保険金が受け取れます。また、満期を迎えた際には満期保険金を受け取ることができるのも特徴の一つです。
ただし、終身保険と同様に中途解約した場合は元本割れリスクがあることや、保険料が一般的な同一保障内容の定期保険や終身保険よりも高額である点に注意が必要です。
定期保険と終身保険、養老保険の特徴について解説しましたが、3つの保険にはどのような違いがあるのでしょうか。
満期保険金の有無や保険期間など主な違いについて表にまとめました。
項目 | 定期保険 | 終身保険 | 養老保険 |
---|---|---|---|
満期保険金 | なし | なし | あり |
保険期間 | 一定期間 | 一生涯 | 一定期間 |
解約返戻金の有無 | なしまたはあり (一般的に金額が少ない場合が多い) |
原則あり | 原則あり |
満期保険金が受け取れるのは3種類の中で養老保険のみです。また、終身保険には満期保険金はありませんが、一般的に解約返戻金を受け取ることが可能です。
保険期間については、定期保険と養老保険は一定期間ですが、終身保険は一生涯となっています。
解約返戻金は終身保険と養老保険は受け取れますが、定期保険は原則として受け取れないか、あってもごくわずかな場合が多いです。
死亡保険には定期保険・終身保険・養老保険といった種類がある他、多くの生命保険会社からさまざまな商品が販売されています。そのため、どの保険が適しているのか見極めることが大切です。
ここでは、死亡保険を選ぶ際のポイントについて解説します。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
死亡保険を選ぶ際には、加入する目的を明確にすることが大切です。例えば、以下のような目的が挙げられます。
こういった目的に合わせて最適な死亡保険が販売されていますので、まずは目的をはっきりとさせ、実現できる保険商品を選ぶことがポイントです。
被保険者が亡くなった後の遺族の生活費は、貯蓄でまかなえることもあります。将来必要になる費用から現在の貯蓄額や遺族年金、死亡退職金などを差し引き、不足する分を死亡保険で備えるとよいでしょう。
世帯の中に被保険者以外にも収入を得ている方がいるかどうかもポイントです。例えば、配偶者も正社員で共働きであったり、ご両親が自営業で収入を得ていたりする場合などは、その方の収入を生活費に充当できるケースもあります。
また、子どもの人数や年齢も保障額の算出には重要な要素です。子どもが独立するまでにかかる養育費や教育費がどのくらいなのかを見積もり、保障額に組み込むとよいでしょう。
ライフステージによって必要な保障額が変化するため、定期的に保障の見直しを行いましょう。
万が一のことがあった際に、遺族年金や児童扶養手当といった公的制度を利用することができます。
遺族年金とは、国民年金や厚生年金保険の被保険者が亡くなった際に遺族に支給されるもので、亡くなった被保険者の年金納付状況や遺族年金を受け取る遺族の年齢および優先順位などの条件を満たす必要があります。
児童扶養手当はひとり親世帯に対して支給される手当で、子どもの年齢や人数により支給金額が異なります。
これらを活用すれば、遺された家族の負担を軽減することが可能なため、利用できるかどうか条件や支給額を確認してみるとよいでしょう。
死亡保険に加入する際には保障内容や保険期間を決める必要があります。保険期間を決める際には、平均寿命・健康寿命を参考にして検討するのも一つの方法と言えるでしょう。
厚生労働省の「e-ヘルスネット」が提供している情報によると、2019年時点での男性の平均寿命は81.41歳、女性の平均寿命が87.45歳となっています。一方で、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間と定義されている健康寿命においては、男性は72.68歳、女性は75.38歳です。男女ともに健康寿命と平均寿命の間には差があります。
出典:厚生労働省「e-ヘルスネット|健康寿命|平均寿命と健康寿命」
健康寿命を超えると、病気や体力の低下に伴う何らかの健康上のリスクを負うような状況となる可能性があります。医療費や介護費など必要な保障をカバーできる死亡保険を選ぶことが、老後を安心して迎えられるポイントになるでしょう。
死亡や高度障害に対する保障内容だけでは、ご自身が生存している間の保障が手薄になる可能性があります。
病気やけがで入院・手術をする際などに保障を受けられる医療保険や、療養のために長期間働けなくなった場合に収入を補填するための就業不能保険などを組み合わせるとよいでしょう。
ご自身が亡くなった後の家族の生活を守るための死亡保険には、主に定期保険・終身保険・養老保険といった種類があります。それぞれ満期保険金の有無や保険期間など異なる特徴を持っているため、どれが適しているのかしっかり考慮することが大切です。
また、死亡保険を選ぶ際には加入目的を明確にし、必要な保障額をさまざまな面から見積もることがポイントです。ご自身もご家族も安心できる保障を得られるような死亡保険を選びましょう。
記事の監修
※保険商品の内容は、一般的と考えられる内容です。各生命保険会社が取扱う保険商品の内容については、各生命保険会社へお問い合わせください。
※社会保険制度の内容については、2024年3月1日現在施行されている制度に基づく内容です。今後の制度改正等によって、内容が変更される場合もあります。
記事の制作:FWD生命保険株式会社
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