最近では、先進医療という言葉に聞きなじみがある方も多くなっていると思いますが、そもそも先進医療とは何でしょうか。先進医療とは、高度な医療技術を用いた治療のうち、厚生労働大臣から承認を受けたものを指しています。今回は、先進医療に関わる医療費や、具体的にどのような診療方法があるのかについて詳しく見ていきたいと思います。
まず、公的医療保険制度と先進医療との関わりについておさえておきましょう。
日本の公的医療保険制度では、基本的に保険診療と自由診療(公的医療保険制度の対象となっていない診療)を同時に受けることはできません。治療において自由診療を受けた場合には、医療費は全額が自己負担となります。
しかし、自由診療の中に、例外的に保険診療との併用が認められる保険外併用療養費制度というものがあります。保険導入のための評価を行う「評価療養」と保険導入を前提としない「選定療養」が、保険外併用療養費制度のもと、保険診療との併用が認められています。また、保険外併用療養費の対象外である治療法や医薬品であっても、患者からの申出により審査が行われ認めれた「患者申出療養」は、保険外併用療養として使用することができます。(自由診療について詳しくは【がん保険の自由診療】に記載しています。)
そして、先進医療は「評価療養」に含まれます。ただし、先進医療は高度な技術を用いた治療方法となるため、治療を受けることができる医療機関も決まっており、どこでも自由に先進医療を受けることができるわけではありません。
厚生労働省では、個々の先進医療について実施可能な医療機関の基準を定めており、その条件をクリアした医療機関でしか先進医療を受けることができない仕組みになっています。
先進医療の技術数は、令和2年10月1日時点で80種類です。未承認の医薬品や医療機器の使用又は医薬品若しくは医療機器の適応外使用を伴うかどかなどの観点から先進医療Aと先進医療Bに分けられ、それぞれ先進医療Aが23種類、先進医療Bが57種類となっています。
それぞれの先進医療の技術は、有効性や安全性などが確認され、公的医療保険制度の適用になれば先進医療から除外されます。先進医療の技術から取り下げられたり、削除されたりする医療技術もあります。また、その逆に医療技術の進歩により、評価が必要な医療技術が出てきた場合は先進医療に加わることもあります。
そのため、先進医療の技術数や内容は一定ではありません。
厚生労働省によると、先進医療に係る費用については下記のように説明されています。
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先進医療を受けた時の費用は、次のように取り扱われ、患者は一般の保険診療の場合と比べて、「先進医療に係る費用」を多く負担することになります。
では、先進医療に係る費用(技術料)はどのくらいかかるのでしょうか?たとえば、がん治療における先進医療の例を見てみましょう。
先進医療技術ごとの実施件数・費用から見ると、中心となっているのは陽子線治療と重粒子線治療で、重粒子線治療は1件あたりの先進医療費用が300万円をこえる場合があります。
前述のとおり、先進医療は技術料の全額が自己負担となる治療方法です。先ほど、重粒子線治療では1件あたりの先進医療費用が300万円をこえる場合があるとも紹介しましたが、そのようなときにがん保険の先進医療特約があれば少し安心できるのではないでしょうか。がん保険の先進医療特約があれば、責任開始日以後に診断確定されたがんについての治療を直接の目的とする先進医療による療養を受けたときに給付金を受け取ることができます。そのため、先進医療による自己負担分を軽減する方法として利用することができます。
自分や家族ががんと診断されたら、少しでも助かる可能性を増やすため、先進医療を検討する方も多いのではないでしょうか?そうなった場合には、公的医療保険制度の対象とはならず、技術料が全額自己負担となるため通常の診療よりも治療費が高額になることが予想されます。
がん保険を選ぶ際には、治療法の選択肢なども十分検討したうえで、基本的な給付金額や先進医療特約の有無について選択していくと良いでしょう。
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